ビオトープ
希望の池
ぼくたち・わたしたちの挑戦
 はじめは小さな穴だった。掃除の時間に校長先生が穴を掘っていた。「校長先生なにやってるの」「ううん。ここを掘って池を作ろうかと思ってるんだ。」
「冗談でしょ、でも、おもしろそう。」
 というわけで、去年卒業した6年生の子たちが一生懸命穴を掘り始めた。寒い季節だった。毎日毎日子どもたちはせっせと穴掘りをがんばった。継続は力なり。冗談が本気になった。そして、卒業を目の前にして、ついに「希望の池」が完成した。
 石ころだらけで、穴を掘るのは大変だった。掘った土を教材園の東に運んだ。いつしか山ができていた。
 「おお、だいぶ池らしい姿になってきたなあ。」池作りは希望者で働いた。掃除の時間だけではとても卒業に間に合いそうにない。授業後に残って、暗くなるまで穴を掘った。(子どもたちの力はずごいなあ。やる気があれば、とてつもない力が出せるんだ)
 校務の先生が、あちこち走り回って池作りの勉強をしてきた。
池の水が漏れないように粘土をはることになた。
 山から運んだ粘土をみんなでどろんこになって足でこねた。それから掘った池に塗り込んだ。手がかじかむ寒さだったが、みんな夢中でがんばった。

 そして、ついに、ぼくたち・わたしたちの手作りの池が完成した。池の名前を全校に募集した。「希望の池」に決定した。
 完成を祝って、式典が開かれた。
「みんなが力を合わせて作った希望の池をこれからも大切にしていきたいと思います。」
 6年生が卒業土産に作ってくれた「希望の池」は、下級生たちに大人気。放課になるとたくさんの子どもたちが池で遊んでいる。中には池に落っこちちゃう子もいるけど、元気いっぱい、文字道理希望に輝いた目をしている。
 今年の夏、池にはカエルやアメンボが住み着いた。緑と太陽の広場が人気の場所となった。